遺族の誇り

 今日は 蒸し暑い天気となりましたが、お店を休みにさせていただき向かった先は、米子市の鳥取大学医学部記念講堂です。

半年前に亡くなった夫が、その身体を医学発展の為にと献体したことがご縁で、平成30年度の献体者を対象とした慰霊祭に参列してきました。

 本年度の献体者は41名で、別に病理解剖に供したご遺体は19名の方だそうです。合計60名の献体者の遺族が会してのセレモニーは、終始 ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」が流れる中、厳かに執り行われました。

数珠を用意したものの、読経も焼香も無く、宗教色抜きで、医学部関係者や来賓、そして我々遺族による献花が しめやかに行われました。

献体者の名前が一人一人奉読され、夫のなつかしい名前を聞いたとき、その柔和な笑顔が目の前に現れる気がしました。

特定の宗教による儀式や演出に任すことなく、学校側の気持ちとして ひたすら献体者と その家族への感謝が伝わってくる とても気持ちの良い式典という印象です。

追悼の辞では、大切なお身体を 医学の進歩のために捧げてくれたことへの感謝の言葉が 教授や学生から語られます。

MRI、3Dなどの画像診断技術が飛躍的に高まったとは言え、生の肉体を解剖することにより、初めて気づかされること、実感できる情報が多く、それによって 病の本質を知ることができ、解明への道が拓かれるというお話には なるほどとうなずきました。

また、学生さんは、遺体を師と仰ぐ気持ちで接するのだと語っていたのが印象的です。

目の前の遺体は 研究材料や練習台である前に、尊くて厳粛な学びの素であると、敬虔な気持ちで着手するのだと知って、不思議な感動を覚えました。

どなたの言葉も、とても心に響き、温かいものを感じて 追悼の席とは言え 嬉しくなりました。

夫の身体も こうしてお役に立つことができ、故人も きっと満足していることでしょう。

 献体に対しては まだまだ理解が十分ではなく、一般の葬儀をせずに 大事な人の身体を差し出した薄情者と思われる節もないではありません。

夫は、死して尚、私を 導き、支え、慈愛の目で見守ってくれているのだと感じる日々ですが、今日の慰霊祭に参列してみて、さらに 献体という経験を通してこそ深まった絆を強く実感することができました。

 今日は参列して 本当に良かったと思っております。

 

 個人的な都合により 終日 お店を閉店させていただき、ありがとうございました。

「がんばれよ」と励ましてくれている夫の声に背中を押され また明日も頑張ろうと言い聞かせ 帰路に就きました。

|店主のつぶやき|22:23| - | 2018.05.18 Friday |