未来の希望になったニコちゃん

 つい二日ほど前に お供で来てくれたニコちゃんが 本日午後4時過ぎに デイサービス先のカニスさんにて 約15年の生涯を閉じました。

かれこれ4年近く前に 近年、コーギーに多発することで知られるようになったDM(変成性脊髄症)と診断され、緩やかながら、病状は進行を続けていました。

今年はじめに 同病仲間のパールちゃんが旅立ってから9ヵ月後のことでした。

 お仕事で、日中介護のお世話ができない飼い主さんに変わり、カニスさんでのデイサービスに支えられていましたが、昨日までは食餌も摂れていたそうです。このところ 体調が低迷していることは聞いていましたし、最近は 大半を寝て過ごしていたので、生命活動が低下してきているなあと感じていました。

お家でも カニスさんでも手厚い介護を受けていたおかげで 床ずれもできず、ケアが行き届いていたことが分ります。

 途中、保護犬のマルちゃんを受け入れ 家族として過ごした想い出も温かい記憶として残っています。ご家族が慈愛深い方々で、捨て猫なども保護して 懸命に世話をなさってきました。

温かい愛情を惜しげなく注ぎ、この病にかかってからも 最良の世話で支え、不自由な身体になろうとも、手がかかろうとも、昔と変わらぬ気持ちで向き合ってこられました。

 病が進行すると、介護のレベルに合わせて 歩行装具、食器、布団、環境など あらゆることに心配りをして、万全を尽くされました。

元気に ドッグランを歩いていた頃の二コちゃん

 

クリスマスの頃、トナカイの紛争で笑わせてくれました

 

筋肉に優しく働きかけるスゥエーデンマッサージを月2回のペースで受けて、調子が安定していました。

 

DM先輩犬のパールちゃんに教えてもらい 誂えた歩行装具を得意げに引いて お店にやってきてくれました。

 

起立できなくなり 身体の自由が利かなくなってからは、この移動用ベッドで お買いものに同伴して、店内を興味津々で見回していましたっけ。

 

さて、そのニコちゃんですが、明日 火葬場ではなく 鳥取大学の方に送り出されることになりました。

ご遺族であるY家のご希望で、まだ解明されていないDMという病気の一日も早い治療法の確立を願い、二コちゃんの遺体を献体なさることを決意されたのです。

このことに 私は深い敬意を表します。

ニコちゃんは その肉体の営みを終えた後も、たくさんの犬を悩ませる病気を研究してもらうために 身体を捧げるのです。

愛犬が この病気を発症し、苦脳する飼い主、悲しむ飼い主が居なくなり、この病気に蝕まれることによって身体の自由が奪われることのないように、早く病気の仕組や治療法を見つけてもらいたいと誰もが願っています。

この病気に 不幸にも支配された身体を提供することは 大変貴重で ありがたい申し出に違いありません。

ニコちゃんの飼い主さんは大きな心で 愛犬を差し出されますが、それは 即ち、ニコちゃんを、未来の希望に替えて輝かせることに他なりません。

献体は、決して 解剖で臓器を取り出されて 本来の姿でなくなるという悲劇などではなく、むしろ 健やかな未来を拓くという誇らしい使命を果たす貴重で尊い善行と言っていいでしょう。

ニコちゃんは たくさんの学生さんや教授の熱い志が待ち受ける中、尊厳を持って迎えられるのです。

なんと誇らしくて 厳かな「花道」でしょうか。

 これからの命を守る医学の発展のために、貢献していただく道を選んで下さった飼い主さんに心から感謝せずに居られません。

ニコちゃんの在りし日の いろんな姿を思い出しながら ああ、彼女は 輝く未来をつくる一頭となって、明日 出発するのかと、感慨が後から後から湧いて出てきます。

 元気な姿で 楽しそうに 幸せそうに、そして 家族を誇らしげに従えて ビンチェーロにやってきたニコちゃんは、火葬場とは違う方角に あの誇らしげな足取りで進んでいくのでしょうか。

がんばったニコちゃんには 悲しい涙より、誉高いお役目への期待があふれている気がします。

DMという宿命病が 彼女の献体によって 大きな一歩を踏み出し、悲劇としてあきらめなくてもよい日が早く訪れることを切に願います。

ニコちゃん 行ってらっしゃい。

しっかりと 未来の希望となれるよう お役目果たしてきてね。

|店主のつぶやき|22:04| - | 2018.10.11 Thursday |