米子にて

定休日を利用して、以前から伺いたかった鳥取大学医学部献体担当者の方との面談を果たしてきました。

昨年10月に他界した亡夫の遺体を医学部に送り出した「献体」という経験を通して、私自身も それを検討しようと思い始め、可能な限り詳しくお話が聴いてみたいと願っていました。

学生課の担当者さんが 快くお誘い下さり、伺ってきた次第です。

 好天の下、まずは 献体者の慰霊碑に案内されました。

特に宗教色を感じさせない素朴なデザインで、背後の盛り土の内部に 解剖を終えたご遺体の遺髪などを納めるそうです。

敷地の隣りは こんもりとした森のような広場で、学生さんが野外での食事を楽しんだりするそうです。

 献体された遺体が どのような流れで扱われるのかなどをお聞きしましたが、5月の慰霊祭で 学生さんや教授方が述べられた「感謝の言葉」の通り、厳粛に、そして丁重にご遺体が扱われていることを感じ、単なる研究材料ではなく、尊厳と敬意を払われていることに大きな安堵と満足を覚えました。

送り出した者としても 命を終えて物体となった親族が、大切に扱われるだけでなく、その肉体の全てを、細胞の一粒に到るまで、余すところなく研究の糧として役立ててもらえることも 報われる心地です。

 さまざまな種類の病気に打ちのめされ、絶望の中で命を喪う人が居なくなる日が一日でも早く訪れるように、その肉体を提供する人と送り出す家族の愛の善行が理解され、広がることを願います。

 まだ献体登録を済ませていない私も、いつか この世を去ることになったら、この身を 火葬場直行便で焼かれるのではなく、使ってもらえる道を選ぶことも有意義な置き土産となりましょう。

 献体(人の)について 私が知る限りの情報をお聞きになりたい方は いつでもお訪ね下さい。

決して 怪しい内容ではありませんが、特殊な分野になりますので、ブログで記述ではなく、お顔を見てのお話とさせていただきます。

 今日 関係者お二方のお話を伺い、夫を こちらに送り出したことを あらためて良かったのだと思えた私です。

 

大学病院の隣りには 湊山公園があります。

ちょうど、遠足らしい子供たちの団体が 楽しげに過ごしていました。

 

海を見下ろす場所に在る 童謡「夕日」を記念して建てられた子どもたちの像

 

お天気よく、波の音が 眠気を誘います。

 

途中 「大山 恵みの里」という道の駅に寄って、名物のソフトクリームを舐めました。

米子行きの定番コースですが、ここのソフトクリームが たいそう濃厚なミルク感にあふれていて大好物なのです。

前回は「小」でしたが、今回は奮発して380円の「大」を堪能しました。

食堂には 年配の夫婦が二組、それぞれ うどんをすすっておられました。

それを見ると、やはり羨ましいという想いがよぎります。

私も亡夫と 贅沢な旅こそできませんでしたが、休みには「道の駅」めぐりをしては、うどんやそばなど麺類をすするのが常でした。

 夫婦で睦まじく食事を摂る風景は かつでの我々を回想させ、淋しいため息が漏れてしまいます。

もっと、二人で美味しいもの食べたかったなあ。

もっと、いろんなとこに出かけたかったなあ。

そういえば この道の駅にも立ち寄ったことあったなあ、などと、想い出と共に、今では仮定形でつぶやく幻の希望が空転します。

一人でのドライブには 近頃は慣れたし、悪くはありませんが、時々 助手席に語りかけます。

窓外のセイタカアワダチソウが はびこっている風景は紅葉とは違う秋の風情といえますが、これは 以前 花粉症の大敵と言われていましたっけ。最近では「シロ」だと判明したそうな。

そんな話を隣りの席に語りかけながら、今日の日程を無事終えました。

来週は 亡夫の一周忌になります。

それもあって、亡夫が 解剖の順番を待ちながら過ごす大学を訪ねることが 私にとっては「面会」のつもりでした。

あれから もう一年なのか・・・・・。

|店主のつぶやき|21:46| - | 2018.10.18 Thursday |