愛おしき老いの輝き

お店の玄関の前に停まった車から 少し時間をかけて玄関ドアを開けたのは ポコちゃんの飼い主さんでした。

停車から お入りになるまで手間取った理由は、胸に抱いたポコちゃんを同伴されていたからなのでした。

ぶらんと垂れた両脚で 彼女の老いが進んでいることが解ります。

もう15歳。

よく ここまで頑張ってきたものです。

細やかな心配りで、愛犬の老後生活の質を保っておられる飼い主さんの愛情が手に取るようです。

 

 

ご持参の即席シートに落ち着きます。

タオルを折った即席枕に顔を乗せて ポコちゃんも心得たものです。

この愛らしい姿で ピョコタン ピョコタンと歩く姿を見たのは いつでしたっけ?

足腰が弱ってきたとは聞いていましたが、いよいよ機能しなくなってきているのですね。

 

石川県の金沢銘菓に「梅鉢」という最中がありますが、ぽってりとした桃色の肉球は まさに そのお菓子を連想させる愛らしさ。

もう この足で あの歩く姿を見ることはできないのかと思うと 一瞬 淋しさがよぎりますが、高齢になると 衰えるのは自然の流れで逆らうことなどできません。

この足、15年間 歩いてきたこの足。

本当に愛おしく、「ごくろうさん」と労いたくなります。

 

 

排尿のことやら 最近 食餌に工夫が要るようになったことなど、老犬ならではの話題に、何かお役に立てそうな情報がないかと思ったら、ちょうど ポコちゃんと同じような老犬介護の手法などについて書かれたものがあったので複写をお渡ししました。

 

でも、基本的には元気なんですよ。

ほら、この顔、見て!

 

大好きなお母ちゃんに身を委ねて お天気の陽射しを楽しんだあと・・

 

さあ、帰ろうね。

車の助手席に誂えた寝床に戻ります。

 

ふんわり ふかふかのお布団に 注意深く身を横たえさせて、大切な宝を守るようにして、ポコ母ちゃんは ビンチェーロを後にされました。

子犬のときから育てて、今日までには、いろんなことを乗り越えてきました。

面倒がることなく、丁寧に愛犬を支えておられる姿に敬服です。

当然の使命とは言え、惰性で世話をして、小さな老いの変化に対応しない飼い主も多い中、ポコちゃんのご家族は きちんと向き合っておられます。

幸せな老後を送るポコちゃんの これからの余生が どれだけ残っているか分りません。

懸命に 終末期ケアに尽力される飼い主さんの姿勢に寄り添えるよう、私も できる限りの応援していきたいと思います。

今日は お婆ちゃんになったポコちゃんに会えて とても嬉しかったですよ。

老犬というものは 子犬以上に愛おしい存在だと思います。

いろんな歴史を刻んできた歩みを知っているからでしょうか。

|店主のつぶやき|16:03| - | 2018.10.27 Saturday |