想定外の「お土産」

 

1日は 亡夫の住職していた寺に於いて 先住忌、つまり、先代住職(当人)の一周忌法要が営まれました。

ご詠歌をBGMに、お坊さんたちの、様式美に則った所作により 礼拝の儀式が流れるように進みます。

私も かつては毎日聞いて覚えたお経が続き、ああ、なつかしいなあ、と 往時を偲びます。

随分長い間 聞いても唱えてもいないというのに、不思議なもので すっかり過去にしまいこんだ記憶であろうとも自然に脳の引き出しから出せるということに自分でも驚きました。

 

本堂の照明や 流れる香の匂い、坊さん方の衣擦れの音など、どれ一つも 彼を思い出させるものばかりで胸がいっぱいになります。

目の前を動く僧侶の姿に、亡夫を重ね、共に暮らした日々を回想しながら 過ぎ去った日々をたぐりよせます。

彼は本当に 私には過ぎたる伴侶でした。勿体無い人物でした。

 法要が済んで 別室でお昼をいただき、帰り支度をしていると、主催者のお坊さんから「粗供養」のお品を渡されました。

四角くて薄いけれど、ちょっと重みのあるもの。

帰宅後 亡夫の霊膳に供えた後、包装を解くと・・・・・。

あ〜らまあ!!!

それは 私の大好きなチョコレートの詰め合わせじゃありませんか。

これを粗供養に選ばれるとは、ちょっと意外な気がしました。

今の施主さんは、私が大のチョコ好きとはご存知ないはず。

それに 先住忌に チョコを選ばれるということは まず無いと思います。

コーヒー用のシュガーとか、海苔とか、調味料のセットなどを想像していたのですが、チョコレートとは!!

すぐに直感しました。

これは 亡夫が 私のために選んでくれたのだと。

私を労い、喜ばせるために、主催者(施主)が チョコレートのセットを選ぶように彼が「操作」したのでしょう。

開けた途端、目くるめく おいしそうなチョコの数々に 思わず笑顔になった私には 亡夫の声が聞こえましたよ。

「今日はご苦労さん。あなたも忙しいのに、よく来てくれたね。チョコレート食べて。 大好きだよね。」

死して尚、妻を気遣う彼らしい配慮に さすがだなと脱帽です。

私は 亡夫の位牌と、仏壇の上に掲げた遺影に 両手を広げて 満面の笑みで感謝を伝えずに居られませんでした。

「方丈さん(ほうじょうとは、住職の呼称)、チョコレート ありがとうございました。本当に嬉しい。」

そうして、一つ一つ 楽しみながら 熱いお茶と共に 彼からのお土産を味わいました。

チョコを前に 嬉し涙とは これ どうなんでしょう。

|店主のつぶやき|21:47| - | 2018.11.02 Friday |