新しい家族

 今年は たくさんの犬、猫との別れがありました。

どの子も とても愛おしい たった一つの命を生き切りました。

  

 難病 DM(変成性脊髄症)の余生を生き抜いたコーギー、ニコちゃんも その中の一頭です。

彼女は、亡くなる数年前に 飼い主さんが保護されたマルちゃんという家族を得ましたが、保護された当時かられ老齢で病気を持っていたマルちゃんは 二年ばかり前に先立ちました。

晩年を 病魔に侵されながらも たくさんの慈愛を受けながら 幸せな一生を終えたニコちゃん。

その彼女が旅立って、まだ日も浅い中、ちょうど帰省しておられた長男さんが、駐車場で 自ら助けを求めてまとわりついてきた子猫を保護されたのでした。

 見ると なんと その子猫は尋常な姿ではなく、片目がごろんと外に跳びだした いわゆる「ゾンビ」状態でした。

本能的に どうにかして生きるために必死で救護を求めようと すがりついてきたようです。長男の歩さんは、一瞬驚きましたが、そのような状況で、知らぬ顔できるはずもなく、自然と伸びた手がその子を抱き上げ、気づいたら動物病院に走っていました。

 診察の結果、子猫は重篤な状態で、飛び出た片目だけでなく もう一方の目にも不具合があり、事故か病気か分らないも、ともかく早急の処置を必要としていることは確かでした。

果たして 子猫は入院し、命を獣医師に任せて帰宅した歩さんは、どうか子猫が無事に退院できる日が来ますようにと祈るばかりでした。

 

それから一ヶ月ばかり経った一昨日、ニコ母ちゃん(Y夫人)が下げたキャリーの中に入った子猫ちゃんが来店しました。

保護猫をどうにかして欲しいという相談は 幾度と無く受けますが、Yさんの場合は違いました。

縁あって すがりついてきた負傷猫は、普通の身体ではなく 幸運にも命の危機を免れたとはいえ、障害を負い、まだ未知の身体です。その子を Y一家は 全員一致で迎えることになったというのです。

この子は きっと ニコの紹介で 我が家にやって来たのだと思えると柔和な笑顔でおっしゃるYさん。

ニコちゃんが 「私の後にあの家に行っておいで。みんな優しい家族で 必ず守ってもらえるから。」と誘導したのかも知れませんね。

 

見えないけど ちゃんと分っているようです。

ここが 怖いところでも 嫌な場所でもないということが。

 

左目は無くなってしまったけど、少し見えそうな右目と嗅覚、それに触覚、そして 元気な身体があります。

何よりも自慢なのは この明るくてフレンドリーな性質です。

 

これはな〜に?

あ、おいら これがいいな。

転がる玩具に 早速興味津々。

 

おいらの名前はかんちゃん。

新しい家族だといって みんながつけてくれた名前だよ。

由来は、朝のテレビドラマに出てくる元気な女の子の名前だってさ。

※ 「半分青い」に登場した 主人公の一人娘花野(かん)ちゃんです。

歩兄ちゃんの勇気ある救護と 全力で治療にあたってくれた獣医さんたちの尽力、そして 幸せを用意して待っててくれたご一家の存在あればこそ 出会えたステキな子です。

あなたのすがりついた相手は大正解の大当たりだったね。

きっと他の人なら 汚いゾンビ猫を足で振り払って 立ち去ったことでしょう。

 

クリスマスのキャンドルも 生まれて初めて見る不思議な物体です。

野良猫のままだったら この風景も見られなかったね。

 

かんちゃんは 歩兄ちゃんが助けてなかったら 間違いなく車道に出てひかれるか、カラスや野生動物の餌食になるか、寒さで体温を奪われてしまうか、いろんな危険にさらされて 短すぎる一生を終えていたでしょう。

ようこそようこそ、よくぞ 助けて下さいました!!

そして、「丸投げ」が多い保護猫相談を振り払うように潔い「うちで引き取ります」という決断を短期間でされたことに、大いなる敬意と感謝の気持が熱く吹き上がってくる想いです。

コーギーでなくてもいいんですか?

世の中の多くは、以前飼っていたのと同じ犬種を望む人が多いというのに、しかも 犬じゃないのに、この子のように 出自も何も全く不明な野良猫でいいんですか?

これから まだ どんな故障や不具合が出てくるか分らないのに、それでもいいのですね?

いえいえ、Y家を見くびってはなりません。

そんじょそこらの 浅いエセ愛護者ではありません。

深い慈愛で 縁ある命を包み込んで 広い心で守っていく家風が誇りです。

私も大好きなY一家。

ニコちゃんも きっと 自分の後に続く命を応援しているに違いありません。

コーギーでなくっても、犬でなくっても、汚れた野良猫であっても 深い愛の前には なんの問題でもないのです。

これから始まるかんちゃんとの思い出づくりの日々を 私も全力で応援していくつもりです。

 

※ この先の写真は かんちゃんの保護当時のものが含まれます

 

 

 

無事退院して「家」でくつろぐかんちゃん

よくがんばったね。

乗り越えたね。

 

 

病院に搬送された当時のかんちゃん。

小さい身体で 懸命に生きていたようです。

空腹と寒さと、この重傷を負ったまま、どんなに心細かったでしょうね。

ハッピーエンドだから あえてお見せしようと思います。

 

 

 

Yさんが関与している「亀のパン屋さん」(鳥取市西町)からの差し入れもいただきましたよ。

どれも可愛らしくて美味しい!!

 

|店主のつぶやき|13:59| - | 2018.12.07 Friday |