「ベイリーとゆいちゃん」に感動

 

昨日のNHKスペシャル「ベイリーとゆいちゃん」は、私の知識の範囲をはるかに超えた犬の高度な知性や能力を あらためて知るきっかけを与えてくれました。

神奈川の子供病院には 大勢の小児患者が 難病や重病を抱えて 日々治療と向き合っています。

そこに出勤しているオスのゴールデンレトリーバー ベイリーは11才のオーストラリア生まれです。

ハワイで訓練を受けて 病院勤務での大切な役目を担っています。(実は昨年10月に引退)

それは、不安や苦痛を抱えた子供たちに寄り添い、スキンシップなどでの交流を介して、苦痛を緩和し、治療に前向きになれるようにと導く仕事です。

10歳の女の子 ゆいちゃんは 生まれたときから腸などに重大な病気を持ち、病院での闘病を続けていますが、もう6年も ベイリーの支援を受けて、頑張ってこれたそうです。

その彼女が 大きな手術に向かう場面、手術室のドアが閉まっても尚、扉の奥に居る姿にエールを送るかのように動かないベイリーの姿は なんとも胸を熱くさせます。

術後の痛みと闘うゆいちゃんを、いつものように通ってきたベイリーが見舞います。

ベイリーは ゆいちゃんのベッドに乗ると 彼女に寄り添うように寝て、ただじっとしています。

30分後、そろそろ退去しようと トレイナーが指示を出すも、ベイリーは動こうとしません。

ゆいちゃんと痛みを分かち合うようにふせたまま動かないベイリーが ようやくベッドを降りたのは、ゆいちゃんが 寝息を立て始めたときでした。

ゆいちゃんが眠りに就いたことを確認し、安心したかのようでした。

その後も 術後の腸の動きが思わしくないゆいちゃんは、喉が渇いても 一滴の水を飲むことも許可がでませんでした。

喉の渇きと痛みからの歩行困難という苦しみは、10歳の子には余りにも酷な試練で、見ている方もつらいものでした。

しかし、ベイリーとなら 病室の周りを歩こうとするゆいちゃんのけなげな努力が報われ、2週間後に、ようやく わずか100ccの水を口にすることが許されます。

幼い身体で 必死に闘う子供に 一声も発することなく、全力で「がんばれ〜!」と励ますベイリーの姿には泣けました。

 ゆいちゃんとベイリーを通じて 人と犬が 種を超えて心を通わす美談に何度も目頭を熱くしましたが、それだけでで終わる番組ではありませんでした。

 

 興味深い科学的な踏み込みが、視聴者に 犬という動物の優れた資質を学ばせてくれたのです。

ロシアの研究所における、野生のキツネを使った実験の成果が紹介されました。

人に対して 心を開く余地もない野生丸出しの攻撃的なキツネから生まれた子の中から 穏やかな個体を選んで 繁殖を繰り返します。穏やかな資質の個体から生まれる さらに穏やかな子だけを選び 何世代にも及ぶ繁殖を重ねるという作業を続けるうち、元の野生を全く感じさせない温厚なキツネが誕生していきます。

穏やかな性質を持つキツネの血液を調べると 攻撃的になるホルモン、コルチゾールが低い値であることをつきとめました。

コルチゾールの低い個体だけを選んで繁殖を繰り返すうち、性質だけでなく、容貌までが 犬化してくることも分りました。

なんと、キツネ特有の尻尾が、キツネにはない巻き上げた形状になったり、顔のとんがりが丸くなったりするのには驚きました。

純血のキツネだけを交配して このような結果が出ることには 神技、奇跡という言葉しか出てきません。

ベイリーを含む犬の祖先がオオカミであり、彼らもまた、人の相棒、家族としての地位を獲得するまでには 人が能動的に関わるという行程があったということが解りました。

最初は 食べものをめぐるライバルであったオオカミとヒトが、心通わせる間柄になるまでには 知恵と歳月と工夫が必要だということも解りました。

 ベイリーのようなセラピードッグは 現在ファシリティードッグという名で呼ばれ、病院で 脳に関わる重篤な症状を劇的に改善したり、不安や絶望感を払拭させたり、人間ではできない凄い仕事をこなしています。

しかし、病院に出入りを許されるまでには、衛生や安全という障壁が立ちはだかり、容易な道ではなかったようです。

今では 医師たちも、ファシリティードッグの力なくして 患者の支援はできないとまで言い切る状況になっているそうです。

よくぞ よくぞここまで来れたものよ、と 関係者の努力と熱意にも脱帽するばかりです。

 ベイリーは 10月で引退となり、大きな試練を克服して退院が実現したゆいちゃんから、お手製のネックレスと心からの感謝とねぎらいのお手紙が送られました。

 

 人の手によって開花したら 素晴らしい大輪の花となりうる犬という動物を むざむざと「処分」などしている場合じゃないと思いました。

犬も猫も 本来は ちゃんと人の友となるための素晴らしい能力を授かって生まれてきていることを あらためて思い出させてくれる番組でした。

人に希望や生き甲斐を与え、いや、未来すら与えてくれる なんと神々しい生きものだと 感激ひとしおの時間でした。

ベイリーに続くファシリティードッグが 全国に誕生しますように。

それを通じて 彼らの命の尊さを体感する人も どんどん増えていきますように。

昨夜は ゆいちゃんの未来と、ベイリーの余生に幸多かれと 感動の余韻を胸に 祈りながら眠りに就いたことは言うまでもありません。

 ところで 上の写真は ベイリーではなく、友人の愛犬であり、ベイリーと同じ犬種なので イメージとして載せました。

|店主のつぶやき|16:31| - | 2019.01.28 Monday |