輝く光となって  健康という悲願を叶える道へ

たくさんの犬たちや飼い主さんを迎えてきた看板犬エナちゃんが、およそ3年の月日を暮らしたカニスさんを後にしたのは 間もなく平成の世が終わろうという今月23日のことでした。

事情あって手放さなくてはいけなくなった、これ以上飼えなくなったとの理由で にわかに行き場を失ったアイリッシュセッターは、出産歴もある老犬でした。

ためらうことなく 2頭目の看板犬として迎えたいというカニス店主さんの申し出がなかったら、果たしてどうなっていたことでしょう。

年齢が高いだけでなく、既に喉に腫瘍を抱えた身のエナちゃんは、負の条件をものともせずに、たっぷりの愛情で両手を広げてくれたカニス店主さんの許へ貰われて、ゼロからの幸福を築く毎日にいそしんでいました。

同じく保護犬の先輩犬バニラの家族として、共にカニス店主さんを支え、お客様を歓迎し、多くの方から愛されておりました。

 余命が長くないことを承知で迎えたカニスさんは 彼女の生を活性化することを厭いませんでした。いえ、そのために 最大限の努力を重ねてきました。

 その甲斐あって、エナちゃんは、それまで 経験したことのないであろう楽しい時間と想い出を たくさん刻んできました。

途中 不調に見舞われ、再起が危ぶまれる状態に陥ったこともありましたが、手厚い動物病院での治療に助けられ 難局を何度か乗り越えてきたものでした。

 しかし、今月17日に倒れ、カニス店主さんの献身と、彼女を支えるお客様やお仲間のお力ぞえを受けて 文字通り、必死で頑張るも、約一週間後、ついに力尽きたとの悲報を受けました。

倒れた翌日の木曜日に様子を見に行った折のエナちゃんが 私が見た最後の姿でした。

力を喪った目と、立つことができなくなった痩せ細った下半身が哀しくて、ひそかに涙を覚えたものです。

それでも 私の呼びかけに 静かに応えてくれた気がして それが さらに悲しみを誘いました。

倒れた日は、鳥取県西部のチューリップの名所に、アニマルリンク鳥取の代表である谷畑さんと出かける約束だったそうです。

愛犬の最後が迫ったことを悟ったカニスさんは 彼女に この世での最後の光景を その目に焼き付けてあげようとしたようです。

が、それは叶うことなくついえてしまいました。

 

心優しく 誰でも歓迎の温和な子でした。

これは昨年11月時点での療養姿です。

喉の腫瘍が巨大化して、圧迫感や違和感などの不快を抱えながらも、いつも笑顔を忘れない子でした。

私が行くと 尻尾を振って出迎えてくれる姿が愛おしかったこと!

どんなに重篤な病を抱えていようとも、それを感じさせない屈託ない笑顔が けなげでなりませんでした。

 

 

アニマルリンク鳥取の活動にも ホステス犬や模範犬として役に立ってくれ、どこに行っても 場を和ませてくれました。

存在感ある大型犬という物理的要因だけでなく、心理的にも 安心感と包容力をもたらす持ち前の能力と稟性に富む素晴らしい名犬でした。

年齢は およそ14才。

まだまだ その優しい雰囲気に触れたかった、元気をもらいたかった、励ましてもらいたかった。

生まれた命は いつか終わる定めと分っておりますが・・・・・。

 

 しかし、これで終わりではなかったのです。

エナちゃんは 命を終えた後に さらに 尽くすことを忘れませんでした。

この宿命の病で冒された身体を捧げることにより、獣医学の光となって、未来の難治性の病を予防したり、治療したりできる道を拓くための大きな一助となるべく、翌日 火葬場ではなく、鳥取大学に赴いたのです。

死して尚、未来に続く多くの命を想い、誰もが願う健康を開拓する礎になってくれたエナちゃん。

そんなエナちゃんを 獣医学の前進へといざなう力として送りだしたカニスさんにも大きな拍手を贈らずにおれません。

 ご本人は 「エナが苦しんでいた病気の正体を知りたい」との思いを語ってくれましたが、それは とりもなおさず、獣医学の発展に貢献することに他なりません。

 かつて、DMで亡くなったニコちゃんや、重篤心臓病を抱えたアンズちゃんが そうだったように、生きる使命を終えた肉体を差し出す勇気と底知れぬ愛に脱帽するばかりです。

エナちゃんの遺骨は 8日にカニスさんに帰宅するそうです。

カニスさんの安全と ご縁ある方々の幸福を願い、これから先、エナちゃんは ずっとずっと あの笑顔で見守ってくれることでしょう。

エナちゃん、エナ母ちゃん、本当に お疲れさま。

エナちゃんのこと、どうか ずっと忘れないで下さいね。

|店主のつぶやき|17:07| - | 2019.04.27 Saturday |