友あり 遠方より来たりて、大いに遊ぶ

 山口からの来客 空我君ご一家は、昨晩、ビンチェーロのお仲間「いちりんのはな」さん宅に招かれて 大歓迎を受け、そのままご宿泊でした。

犬飼育経験ゼロで、犬の扱いが分らないといういちりんのはなさんですが、野犬ビンチェロの見守り支援を通じて、犬への理解が徐々に進み、空我君ならばと 宿を買って出たのでした。もちろん 室内に寝床を用意してくれています。

 

  空我君は 鳥取で暮らした当時からのお客様の間では「伝説の犬」という地位を築いている子です。

相手(犬)の出方や性格など、いわゆる対人ならぬ対犬関係の状況をふまえて、配慮ある対応ができるということで、中に人が入ってるんじゃないの?などと不思議がられたものです。

怖がる子には ちゃんと距離を保ち、小競り合いには すばやく仲裁に割って入ります。

自分の衝動に任せることなく、どこまでも紳士的なふるまいが 多くの愛犬家の感心と羨望を誘ったものです。

なんで こんな風に堂々として、控えめで、優しいのかと、犬らしからぬ空我君のことが話題になることが何度もありました。

彼が、子犬時代に三度も 捨てられて 人間不信になった哀しい過去を乗り越えていることも その「犬格」の構築に大きな影響をもたらしたものと私は考えます。

ARKの厳格な審査を通った今の飼い主さんの許に迎えられたことが 彼の運命を奇跡的に変えたのは明白です。

 

 さて、空我君、昨日は海辺での想い出をつくり、再び ビンチェーロに脚を向けて下さいましたよ。

 

 

 第2日目の今日は かつての遊び仲間チーバとの対面から始めました。

7年前に ビンチェーロに初お目見えした頃は、チーバより小さかった空我君でしたが、なんと、今じゃ 30kg近い巨体に成長しています。

それでも「兄貴〜!」と慕ってくれるところは 昔のまんま。

今じゃ チーバの存在は ささやかなものです。

 

当時のドッグラン仲間だった ご近所の「しょーちゃん」が面会に訪れました。

お母ちゃんは 久々の再会に大喜びです。

「おばちゃん ご無沙汰してます。」

出迎えた旧友に、おばちゃんも大喜び。

 

 実は空我君、少し前に右前肢の先端、肉球部分を切除する手術を受けました。

以前から 歩行に不自然さが見られ 気になりつつ受診するも 大きな問題ではないとの見解で時が流れていたそうです。

ところが いよいよ様子が尋常でないことに気づき、総合病院で新ためて診察を受けたところ、悪性腫瘍と判明したとのこと。

まさかの展開に大いに悩んだ末、専門医の薦める治療に踏み切り 今は こうして問題なく生活できています。

右足に履いた赤い靴は、昨日 素足で駆け回りすぎたことで擦り傷のような軽度の炎症が発生したため、局部をかばうために装着しているのだそうです。

 

器具小屋に入ってみたり

 

幼なじみのしょーちゃんと遊んでみたりするうちに・・・・

 

以前から 会いたがっていた同じハスキーのルーク君が 面会に来てくれました。

早速 エンジン始動です。

 

ルーク君の方が少しだけ年下ですが、互角に、ほぼ対等に遊べそうで 見ててもおもしろい体勢です。

空我君は たいていの場合、相手が体格的に弱者であることが多く、それに配慮するようにふるまうもので、本来の勢いのある動きを見せる場面がほとんどありませんでした。

しかし、今 相手が同格と見てか、けっこう本気で対峙しているのが分ります。

 

こうしてみてると 2頭は同じぐらいの大きさですが、実際は ルーク君の方が8kgほど軽いのです。

 

相手への気遣いから 大胆な動きや 追い回しなど しない空我君ですが、今回は なんだか 相手への意欲がみなぎっています。

こういう表情や動きを見るのは初めてかもしれません。

とても珍しい状況です。

 

立ち合いは どちらが優勢か。

いよいよ ハスキー相撲が開始です。

 

一瞬の沈黙のあとに・・・

 

はっけよい 残った!!

 

中入り。

お互いを妨害したりせず、短い休憩を許しあいます。

それ!! 残った残った。

 

にわかに 両者の前に躍り出るのは しょーちゃん。

どうやら 行司を買って出た模様。

 

なんとも絶妙な位置に立ち回って 両者の審判を担います。

しょーちゃん、いい仕事してますよ。

 

公正な審判です。

的確なタイミングで声をかけるところは 全く名行司です。

犬版 木村庄之助という感じ。

 

幾度も「中入り」を挟んでの長い長い取り組みが終わろうとしています。

ルーク君も こんなに長い時間 手加減することなく互角に遊べる相手に出会えて よかったね。

無論 空我君も 遠いところ来た甲斐あったね。

ハスキー同士 遠慮も気兼ねもなく たっぷりと遊べたことは ギャラリーも、土俵を提供した店主としても 大満足です。

 

楽しかったね。

大好きなお兄ちゃんにも労ってもらい、嬉しげな表情で応える空我君。

2日間の鳥取旅行 良い想い出として記憶されるといいな。

 

7年前は 日曜の度に よく遊びに来た場所だったビンチェーロ。

いろんな子たちと出会い、遊び、学び、交流も楽しみました。

遠くに転勤引越しの後も こうして 思い出して訪ねてくれて、このご縁を嬉しく感謝する店主です。

はるばる来てくれて 本当にありがとう。

本犬は 稀に見る良い子ですが、それと同様に、飼い主ご一家のお人柄にも 優れたものを感じます。

同伴の次男さんは 当時から 皆さんに好かれる人気者でした。

 

思いがけなく大きな病気を経験したけど、また ここに来れてよかったな。

お父ちゃんに抱っこされて さあ、いよいよ 再び長い6時間の道中が始まります。

山口かァ、遠いよなあ。

 

Y家にとって 空我君は 先代ゴールデンレトリーバーに次ぐ二代目わんこです。

先述のように、空我君は 生後約4ヵ月とはいえ、3度も 行き先を転々とたらい回しにされた不運な過去を持っていました。

挙句の果てに あの動物愛護団体ARKに収容され、人間不信脱却を助けてくれる最終保護者を待っていたのです。

ARKの薦めに従い 彼を引き取り、愛犬として育ててみようと決意されたのがY家で大正解でした。

尾を振ることも忘れ、暗い性質になっていた子犬は 月日を重ねるうち、Y家の愛に心を開き、素晴らしい家庭犬として成長することができました。

そして いつの間にか 転勤の地鳥取で ご縁あって遊びに来てくれたのがきっかけで、ビンチェーロドッグランの名物犬となっていました。

いろんな友達ができるも、飼い主さんのお仕事の関係で山口へと赴くことになった空我君。

最初は 犬同伴の借家が無いとの理由で 窮地に追い込まれましたが、全力で探した末、好みとはかけ離れた古いアパートを選び、大切な愛犬を手放すという選択を回避することができたそうです。

守るとはそういうことなのですね。

自分たちの居住の質や好みではなく、愛犬が安心してそばに居られる場所を最優先に選ばれるとは・・・・。

飼い主の鑑のようなご一家です。

犬に対する感性、感覚も 盲愛や溺愛ではなく、大きくて広くて深い慈愛に満ちています。

この子の一生を 家族全員で力を合わせて守り抜くために生きているといっても過言ではないご一家。

私は そんなY家の皆さんが大好きで、ご来訪を歓迎するのには 当然の経緯があるわけです。

 空我君の健康を願い、Y家の幸せを祈り、長州への旅路に就く車を感慨深く見送りました。

是非とも また来てもらいたい。

待ってますとも。

元気な空我君と 次に会える日を ええ、ええ、楽しみにしてますとも。

|店主のつぶやき|22:19| - | 2019.04.29 Monday |