上光一家本家の風景

 ビンチェーロの店名の由来をご存じの方ならお解りの通り、当店では、飼い主の居ない犬、不幸な犬を出さないよう、飼い主一人一人、ご家庭一軒一軒が、愛護と責任感を持って 愛犬との生活を有意義に送るための情報を発信しています。

 過去に、ビンチェロと名付けて後方支援を続けた野犬を 保護し、晴れて家庭犬として余生を送らせたいとの願い届かず、無念の想いをお店の原点に投影した名前が「ビンチェーロ」なのです。

人の手に身を委ねることなく一生を終えたビンチェロのような犬が再び出ないように、どの犬も 人に守られることなく、路頭に迷う末路を辿らせるまいとの強い意志をお店の基軸にしようと思いました。

そして、あえなく自らを野に葬ったビンチェロの来世こそ 幸福な長命をと 心より祈る気持ちが 彼の名を長く伸ばした屋号となりました。

生来 野生の犬なんぞは存在しません。

世間で迷惑がられている野犬たちも 人間が作り出し、送り出した不幸な忘れものなのです。

 今 ビンチェーロに出入りしている家庭犬の中には 元保護犬も多く、野犬だった子もおります。

ビンチェーロの在る地区「上光(かみみつ)」の地で捕獲された野犬の一族も、ビンチェーロを拠点として それぞれの家庭にご縁をいただき、笑顔で送り出されました。

 その中で、犬たちの親である母犬のハグと、長男犬ハーツ、その次に産まれた次男ハンズの3頭を望んで迎えて下さったK家もまた、上光地区の住民です。

長年 この集落に出没する姿を見ては いつか保護できたら迎えたいと願ってくれたK家に めでたく子供と共に引き取られたハグは、野犬生活が染みついているはずなのに、今では 家族に厚い信頼を寄せて甘える 世間の家庭犬と なんら変わりません。

そんなK家から 5月に送られてきた近況報告写真を ご紹介します。

 

台所で調理するお母ちゃんの脚の間が大好きな位置となったハグ(母)。

野犬時代の面影はどこにもありません。

ほんわか まったり、人間のお母ちゃんに甘える至福のときです。

 

 

ハグ母ちゃんに ちょっと距離を置いて 自分の立場をわきまえたかのような次男ハンズ。

 

母と弟の間で そして家族の間で 良い空気を醸し出すクッション役の長男ハーツ。

とても利発なあんちゃんです。

 

保健所とビンチェーロを経由して 家庭に送り出された3頭の今日は、応援してくれた一般の人々、生かしたいとの想いを現実にしようと奔走してくれた行政の担当者、そして、その命を引き受けようと家族中で両手を広げて待っててくれた里親家庭あってのものです。

野犬時代のぎらついた眼光鋭い目とは対照的に 穏やかで柔和な光を宿す3頭の表情は その結実を実感させてくれます。

 

最初 得体のしれない野犬の存在におびえていた末の娘さんに 大丈夫かなあと不安を禁じ得ない我々でしたが、それは、良い意味で見事に裏切られました。

この5歳のお嬢ちゃんが 犬家族の扱い方、心理状態を一番よく理解しているそうです。

いつでも犬の味方であり、支援者となった彼女に、最初の日の絶叫を回想させるものは全くありません。

大きな犬たちを前に、怖くて怖くて お母さんにしがみついて泣いていた彼女が 今は 犬たちの理解者となっているなんて・・・・。

 

犬たちも この小さな「お姉ちゃん」に全幅の信頼を寄せています。

世間には、子供の情操教育のために犬を飼うという両親が居ますが、K家の場合は まさに、模範的好例だと思います。

行き場の無い保護犬たちを引き取って ゼロから世話をするだけでなく 守り、支え、導くという経験こそが どれほど多くを、大きなことを子供たちに学ばせてくれることでしょう。

ビンチェーロでは K家に感謝と敬意を覚え、これからも 彼らを見守り、後方支援を惜しまないつもりです。

|店主のつぶやき|14:37| - | 2019.07.09 Tuesday |