帰郷  2019 お盆

 今年は 昨年秋に他界した母の初盆なので 久々に帰省しました。

私は寺に嫁いでいたので、お盆に帰省するのは なんと初めてなのです。

実家に帰ると 嬉しそうな笑顔で玄関に出迎えてくれた母の居ない家に向かうのは 正直気が進みませんでしたが・・・・・。

 

 

 自宅を出て5分ばかり。国道9号線に右折しようとした瞬間、正面の海に面した視界に舞い降りるコウノトリ発見!!

もちろん、右折してすぐの路肩に停車し、車窓の向こうで 餌をついばむ愛しのコウノトリにカメラを向けました。

これは とても幸先が良いと 気分高揚です。

母の居ない実家へと走る淋しい気分が パッと晴れた心地です。

 

そうかそうか。元気にしてたのか。

嬉しいな。

息災で居てくれたことが嬉しくて 炎天下を急ぐドライブも苦になりません。

 

 

 

 舞鶴若狭道(通称マイワカ道)を ひた走って 何度か道の駅に立ち寄ってみました。

食堂は さすがに どこも混雑していて、結局 110円のわかめおにぎり1個買って昼をしのぎました。

おかげさまで、まさかの渋滞で困るトイレトラブルを想定して準備したモノも必要なく、スイスイと進んで あれよあれよという間に敦賀湾です。

福井県入りしたら もうこっちのもんです。

生まれ故郷は、いわゆる「縄張り」なもんで・・・。

 

 

 

最初の夜は、高校時代の親友Yさんが 是非にと誘ってくれたもんで、郷里の隣り町「丸岡」の自宅に泊めてもらうことになりました。

Y夫妻は 大阪を切り上げて、もう30年以上、郷里の福井で「8番ラーメン」の支店を任されています。

現在、夫君が店長を務める丸岡店で、お目当てのものを楽しみます。

 

 

 

 

 

そして なんと!! この日は 珍しいことに、小学校時代の親友スミちゃんからの連絡で、この店で五十数年ぶりの再会を果たすことになったのです。

膝上のスカート姿で逆上がりの腕を自慢しあった当時の姿以来、会っていない者同士(記憶では)、一体どんな姿になっているのか嬉しいような怖いような、ドキドキ状態でした。

 果たして、約束の刻限に店に着くも、それらしき人が居ないので 玄関に出てみようと出入口に戻ったら、一人ぽつんと待合の椅子にかける中高年女性が居ます。

ためらいがちに その名を呼んでみたら やっぱり「スミちゃん」でした。

お互い、小学生姿から およそかけ離れたオバちゃんになった姿に苦笑しながら、遠い昔に時を駆け戻りました。

記憶というものは えらいもんで、彼女が発する名前や出来事を、一瞬は 首を傾げつつも、パッと点灯したように思い出すことができる力が まだ残っている自分に感心する場面もあり、実に楽しいひとときでした。

今は家庭を持ち、孫も居るスミちゃんは、社会の荒波を乗り越えてきた貫禄と味わいをにじませて、なんだか 私より遥かに偉い存在だと尊敬できました。

「まりちゃん、全然変わらんの〜。」

ええ〜! どこが〜〜?? 

子供に帰る時間など 何十年も持つことがなかったのですが、ここまで歳月を経ての再会というのは なかなか感動的です。

福井弁を交えながらのなつかしいひとときは夢のようでした。

 

 

 メニューを手にすることもなく、昔から変わらぬ味「塩野菜ラーメン」に決めています。

スミちゃんは 「醤油野菜ラーメン」です。

白濁したスープと 独特の風味を練りこんだ太麺が いい相性です。

なんてったって、ふんだんに乗ってる野菜が人気らしいです。

最近は アジア系だけでなく 北欧など欧州系のお客さんも多いそうです。

 8番ラーメンの名前の由来は、国道8号線に沿って店があるからだそうですが、確かに 福井、石川、富山に大半が集中しています。最近では タイにも出店しているとか。

帰省して、よほどのことがない限り この店で このラーメンを食べるのが楽しみになっていますが、今年も また この味を、歳月を隔てて会えた友とすすることができた幸せに感謝しながら、店内を忙しく立ち回るYさんの仕事あがりを待ちました。

 

 

 

 

 

 

店はまだまだ営業時間ですが、早めに切り上げたYさんに案内されて自宅に到着。

Yさんは 私の高校の同級生ですが、お互いが子育てやらなんやらで しばし交流が中断していました。

いつも 深夜まで働いているそうで、同じ職場の夫君の帰宅はさらに遅く、この日も 翌日の午前1時過ぎでした。

Yさんは、丸岡で評判の人気洋菓子店で買ってきたというケーキをご馳走して、私を歓待してくれました。

そうそう、写真に撮り忘れましたが、8番ラーメンの限定品「ぷりぷりエビ餃子」もご馳走してくれました。

ケーキは 見た目は平凡ですが、生クリームが とても良い風味で、質の良さを感じさせます。

遠いところから わざわざ求めてくる客も多いそうな。

 

 

レモンバームとなんにゃらがブレンドされたという青いハーブティー。

忙しい毎日の中 彼女は ささやかなもので疲れを癒して、生活を楽しんでいるようで ほっとします。

友の順調な暮らしぶりを目の当たりにして、大いに安心しました。

大阪の小さなアパート暮らしからスタートし、郷里に帰って 子供二人を抱えて 一からのラーメン店業務を決意したY夫妻ですが、苦労を重ねた甲斐あり、今や 郊外に 念願のおしゃれな住宅を建てて 還暦を過ぎた今なお 夫婦が現役で励んでいます。

よく頑張りました。

心から尊敬できる自慢の友です。

むしろ 心配をかけているのは私の方です。

 

 

 

 

日本最古の天守閣と言われる「丸岡城」は 歴史家の間で知らぬ人はいない名城です。

地味ですが、戦国時代の名残を感じさせる匂いが強く残っています。

今回は 時間の関係で中に入ることはなかったのですが、階段が急で 覚悟がないと上れませんよ。

次回 機会あらば 是非ともご紹介させていただきます。

故郷の自慢の城です。

ちなみに、鳥取市内のスーパーにも見かける「竹田の油揚げ」(谷口屋)ですが、この丸岡町のメーカーです。

座布団揚げともいわれる厚みが特徴ですが、なんとニューヨーク支店も出されたそうな。

竹田の出身であるYさんによると、子供の頃は、おばあさんが 客の注文を受けると、地下にもぐって、差し出された容器に豆腐や油揚げを入れて手渡していたという昭和の風景もあったそうです。

小さな豆腐店が前身ですが、今ではニューヨーク店かァ・・・・。すごいなあ。

Yさんといい、谷口屋さんといい、よく頑張る人が多いのでしょうか。

 

 

 

北陸新幹線は現在 福井から敦賀までを延伸工事中です。

自宅のすぐそばを通り、開通したら また眺めが変わることでしょう。

 

暑い陽炎にゆらめく福井市街。

路面電車もゆらめいて幻想的でした。

 

 

「田原町」行です。

ご存じですか?

あの詩人 俵万智さんの名前の由来となった「田原町」は、彼女がかつて住んでいたところだそうな。

 

 

 

今回の旅のお供は このCDです。

いつもは イルディーボやお気に入りのクラシックを耳にしながら運転していますが、今回は 押し入れの整理をしていて見つけた傑作をお供にしない手はありません。

「おや? こんなところに こんなものが・・」

まさしく このCDとの出会いそのものが怪談の冒頭のようです。

二十年ばかり前に買っていながら 全然聴く機会のないまま 押し入れにしまってあった怪談ばなしです。

名人の誉れ高い噺家さんによる名調子が素晴らしく 道中 ず〜〜〜と聴き入って、全く退屈しませんでした。

古典の怪談は実にすばらしい味わいがあります。

私の知らない話もあり、臨場感たっぷりの話芸に ただただ感心しながら、あっという間に目的地が迫っていました。

夏ならではのBGMは、私を その不思議な世界に連れ込んで しばし現実逃避を楽しませてくれるに十分でした。

 

 

心の支えとしていた亡母との別れから9か月。

母はどこに居て 何をしているんだろうと思いを巡らせて月日が過ぎました。

初めての墓参りも済ませて、ゆっくりはできないものの、久々の友との再会もあり、実のある旅でした。

|店主のつぶやき|11:36| - | 2019.08.13 Tuesday |