命きらめき  生の実践者

 深夜の国道脇を徘徊中のところを運よく保護され、一旦 行政施設に収容されていたダックスフントのゴンちゃんは、余命いくばくもないと思われる喉の腫瘍を抱えた身を気の毒だからと引き取ったAさんの家で看取られる予定でした。

捨てられた原因は この腫瘍なのか、いろいろな憶測が我々の間に飛び交いましたが、どうあれ、この子に罪は無いし、短い余生なら、うちで暮らそうかと誘ってくれたAさんには みんなが手を合わせる想いでした。

1年は持つまいということでしたが、なんと あれからもう とっくに2年は過ぎてしまいました。

腫瘍は一度破裂したものの、再度成長を始め、今では かなりの大きさになっていると聞いておりました。

幸いにして、本犬は食欲もあり 変わらぬ元気を保っていると、あれから幾度か様子を見る機会はありましたが、ここ最近は ご無沙汰でした。

市内に用足しに出た帰り、頼まれていたゴンちゃん用フードを届けにAさんちに寄ると、乾いた吠え声が玄関奥から聞こえてくるではありませんか。

喉の腫瘍が声帯を圧迫して ほとんど声が出なくなったとは聞いていましたが、その声が まさしくゴンちゃんのそれでした。

 

 

Aさんが 促すと 中から駆け出してきた同居犬のペロちゃんと並んで出迎えてくれたのがゴンちゃんです。

喉の腫瘍は なるほど巨大化しています。

 

でも、この元気。

嬉しくて ひょいっと石段を軽々と駆け上がります。

 

ご機嫌さんで、歩き回っていますが 来客が嬉しいようです。

 

ご覧の通り、喉の腫瘍はどんどん大きく膨らんできています。

が、声帯の圧迫感はありますが、生活の質、いわゆるQOLは低下していないようで、活き活きした動きと、目の表情は、以前と変わっていないようです。

年齢のことも、病気の場所のことも考慮して、積極的治療は とっくに断念していますが、予想より 余命は伸びるばかりで、嬉しい想定外の日々が続いています。

 

おいらがついてるからね。

家族犬のペロちゃんは いつもゴンちゃんのそばで支えてくれています。

ちなみに、ペロちゃんも元保護犬です。

 

 

腫瘍はさぞかし重いでしょうに、暗くなることなく、いつも笑顔で過ごせることに感謝です。

Aさんだけでなく、見守る応援団の我々も 「よくぞ元気で長らえてくれてるね。ありがとう。」という気持ちですが、このような重篤な病にもめげることなく、前向きに生きている姿に、動物の強さを実感するばかりです。

動物は ぐれることなく、しょげることなく、病をちゃんと受け入れて その日その日を、一瞬一瞬を 懸命に生きることを教えてくれると、いつもAさんが感心していることがよく理解できます。

長くはないだろうと、最期を迎えるまでの歳月を悔いなく過ごさせてやりたいと話していたAさんの気持ちが通じたのか、みんなの祈りが力になったのか、ゴンちゃんは 立派に生きていますよ。

この冬は超えられるだろうか、今年の夏は大丈夫か、などと話しながら また新たな生を営む姿は 神々しささえ覚えます。

喉の大きなコブは どれほど邪魔で どれほど不快な違和感があろうに、ゴンちゃん ものともせず 笑って生きてます。

人もかくあるべきかと思いつつも、なかなか こうはいかないものですねえ。

 無治療の決断から2年以上。

まだまだ煌めく生の輝きに目を細めながら、終末期を安らかに 穏やかに支えるAさんです。

励ますつもりが 逆に励まされて 涙ぐむどころか 口元目元に笑みを浮かべて帰路についた私でした。

|店主のつぶやき|16:47| - | 2019.09.20 Friday |