ビンチェロよ これを見よ !

 先日 ご依頼を受けて 地元のことを学ぶというテーマでのお話しに伺ってきた宝木小学校より、お話を聴いてくれた生徒さんたちからの感想文を届けていただきました。

地元のことということで 近在地区にあるビンチェーロにお声をかけていただいたのですが、きっかけは、あの保護犬ファミリー「上光一家」のうちの3頭を引き取って家族にされているご家庭の息子さんからの提案でした。

 はて、いつもどおりの話を引っ提げて伺うつもりでは居ましたが、直前になって、地元のお店ということなら、これは良い機会なので、屋号の由来となった野犬ビンチェロの話をしてみてはどうかと思いつきました。

扱っている無添加商品の良さや 健康に関わる食生活の重要性などを盛り込んだお話しや、動物愛護、特に身近な犬や猫の現状や命への想いなども 当初、私の中では候補にあがっていました。

が、保護が叶うことのなかった伝説の野犬ビンチェロの物語に始まり、満を持しての地元野犬「上光一家」との関りと希望へと送り出した譲渡劇など、生々しい実体験に基づく話は鮮度も良く、湧き起こる情をまとった回想を反映した肉声で語るのも 聴き手を感動に導くかもしれないという期待感が生じました。

 その日は、本物の犬を同伴して 子供たちを喜ばせたいとの作戦もあって、アニマルリンク鳥取のメンバーと、鳥取市の担当職員も一緒での出前授業となりました。

 かくして、私は、授業の二日前に思いついた「ビンチェロの話」というネタを携えて 子供たちに聴かせることとなりました。

交通量の多い国道沿いの草藪に出没していた謎の野犬への後方支援と、彼を保護して迎えたいと願う人の慈悲心に寄り添う同志たち。

様々な困難を乗り越える歳月の中で、野犬に老いがしのびより、ついに 保護の夢 果たせぬまま、彼は消えていくというストーリーです。

 

 プッチーニの歌劇で歌われる「勝利」という歌詞と、高揚感をかきたてるメロディーで あまりに有名な「VINCERO」(ビンチェロ)を そのまま 満身の愛をこめ、この野犬の名前として 幾度呼びかけたことでしょう。

常に このビンチェロという犬のことを原点として忘れないようにと 屋号を変えたことで、店主自身も 彼と共にあるような気持ちで、どの命にも幸あれと念じていることも解ってもらえたなら嬉しいです。

 

 そして、近年 地元での新たな野犬救出劇へと話が続きます。

子供たちは 熱い視線を向け、身じろぎせずに聴き入ってくれました。

物言わぬ弱者である動物が 本当の幸せにたどり着けないまま別れを迎えるという話に、吸い込まれていたように感じました。

幼い心に しっかりと刻まれたことを願ってやみません。

ビンチェロという名前の由来や、彼を支える近隣住民の悲願と行動力など、この話には、単なる動物愛護に留まらないものがあります。

この野犬と 悲願達成ならず 無念の別れを受け入れるしかなかった人々の心の軌跡が、ビンチェーロという屋号に反映されていることを伝え、しゃれこけた店名の奥に託された店主と人々の想いは、きっと届いたと信じたい手ごたえを感じております。

 数日後に 届けられた子供さんたちの感想文は、冒頭は紋切型でも、中身に、感じたままを書いてくれていると感じました。

伝説の野犬、ビンチェロの話は 小さな心に疼きと、切ない苦さをもたらしたことでしょう。

伺ってよかったと思っています。

こういう話を 生徒さんだけでなく、保護者さん方にも聴いていただく機会が与えられたらと願っております。

宝木小学校の皆さん ありがとうございました。

共に授業を盛り上げて下さった鳥取市担当職員さん、アニマルリンク鳥取の仲間にも 感謝します。

 

|店主のつぶやき|21:39| - | 2019.10.28 Monday |