刻む想い出

 25日、Towaちゃんが 来てくれました。

今年に入り 腎不全が発覚してから、一進一退を繰り返す日々が続きます。

腎臓は 老いと共に機能低下するのはやむをえない定めですが、機能しなくなった部分が回復することはないとのこと。

残念ながら、Towaちゃんも 食欲不振、嘔吐、多飲多尿などの症状が露呈し、腎不全が進んでいることは明白です。

1月から 度々の相談を受け、その時の症状に応じたアドバイスをさせてもらってきましたが、高齢でもあり、もはや、何をもってしても治癒の見込みは期待できそうもありません。

しかし、QOL(生活の質)を保ち、残された日々を どう過ごすかは、飼い主さんも含めた課題でもあり、医学的見地ではなく、私の学んだホリスティックケアの視点での助言で 及ばずながらも、わずかな支えになれたらと願って、経過を見守っているところです。

 

病気が判ってから これで3度目の訪問です。

ここまでよく頑張ってきました。

今日は ご褒美も兼ねてのドッグランです。

 

体格も縮み、今では もう18kg代だそうです。

老いるということは 解っていても淋しいものです。

往年の活発さを知っている者にも、飼い主同様の辛さがあります。

加えて 弱っていく身体に、力が失せていくのを 目の当たりにするとき、こみ上げる無常観を痛感します。

 

Towaちゃんの十八番、蛇口からの直飲みは 今も健在。

腎臓の関係で 喉の渇きは特別です。

ゴクゴクと 憑りつかれたように 水をむさぼる姿を前にして、止めることもなく、愛おしく見守るだけの我々です。

 

お〜〜っとっとっと。

脚がよろめく、もたつく、ふらつくも、どうにか自力で態勢をコントロールするTowaちゃんです。

このドッグランで、幾度 ボールを追いかけたことか。幾度 友達と駆けっこを楽しんだことか。

Towaちゃんは、いつ来ても、いつ見ても 笑顔しか見せない子です。

冷たい風に長く当たらぬようにと 早めに切り上げて店内に入ったら、飲み過ぎた水をゲボリと戻しました。

細くなった身体を絞るようにして嘔吐する姿に、ただ励ましの声をかけるしかない我々でしたが、Towaちゃんは その直後にも笑顔を見せることを忘れません。

ゆったりと尻尾を左右に振り、安心させるかのように 穏やかな笑みを見せる彼女のけな気さに 思わず反射的に涙が出そうでしたが どうにか抑えました。

「大丈夫だからね。」と声をかける我々の方が 本犬から「大丈夫だよ。」と あべこべに励まされているのを感じました。

彼女の思い遣りか、犬という動物の持つ高度な稟性か、それは知る由もありませんが、学ぶことは実に多いのは確か。

よく来てくれたね。

また来れてよかったね。

是非また顔を見せに来てね。

そう言えば Towaちゃん、来月24日に 15才の誕生日を迎えます。

その日まではと願いつつも、数字の重圧ではなく、一日一日、一瞬一瞬の輝きを大切に守ってもらいたいと願う私です。

Towaちゃんの笑顔が 最期の最後まで保たれますようにと 祈る気持ちで見送る視線の先に、遠ざかる車までが愛おしくてなりませんでした。

 

店の窓から、すぐお隣の空き地にフキノトウを見つけました。

そう言えば もう既に ツクシだのタンポポだのが話題に出るようになりました。

啓蟄前から ミミズもカメムシも見かけますね。

今年は 暖冬の影響でか、なんだか春の気配も現実となっています。

 

先日 カニスさんで買い求めた猫のグラスアートを施した小さなガラス容器を一輪挿しに見立てて、早速 フキノトウを入れてみました。

可愛らしいなあ。

まだ風が冷たいし、世の中 コロナ騒ぎで混乱状態に陥っているというのに、ちゃんと春の使者が今年もやってきましたよ。

命の香りと色が いつも以上に とても愛おしいには理由がありまして・・・・・。

 今朝、お客様の老犬ちゃんが旅立ったとのお知らせに、予想はしていたけれど 現実に、その日が訪れたと知れば 実に淋しいものです。

春を知らせるだけの はかない植物の命を目の当たりにすると、地上を去り、家族の許から途方もなく遠くに逝ってしまった命の存在感が際立つのも また 自然の流れというものでしょうか。

この ささやかな緑の植物を 今朝旅立ったばかりの子の供養のつもりで しばらく眺めては 時を止め、深い感慨に浸ると、若い頃の元気な姿と、つい先日 最後の訪問で挨拶してくれた姿が思い出されます。

今日のような日は、お店がヒマなのが幸いしました。

|店主のつぶやき|17:11| - | 2020.02.26 Wednesday |